初心者へオススメするミステリ

初心者がミステリを読みたい!と言って来たら何をオススメすればいいのだろうか? それをじっくり研究してみたい。

ミステリ初心者から、「面白かった!」という感想を引き出すのは簡単だ。
宮部みゆきを読ませればよい(勿論ある程度、有名な作品を)。
年齢層的に低ければ「魔術はささやく」あたりが、高ければ「火車」なんかがオススメだろうか。
おそらく、ある程度は「面白い!」と言ってくれるだろう(だから売れるのだ)。
ところが、宮部には決定的な欠点がある。大衆向けすぎるのだ。
そのせいで、ミステリファン内に外部から思われているほどはファンは多くない。
だから、宮部みゆきじゃあんまりミステリファンになってくれそうもない気がする。
さらに、欲を言えば短期間で本格ミステリに引き込みたかったら絶対にやってはいけないミスだろう。

ならば、宮部みゆきの次に売れている京極夏彦か。
まあ、その系が好きな人にはオススメできるかもしれないが、あまり大衆向けには思えない。
作者など、いまだかつてさっぱり京極夏彦と肌が合わない。
全然、場面の盛り立てに盛り上がらないのだ。前から、ホラーを読んで「全然怖くない」とか
言う人間だからかもしれないが。

ならば、誰か。線としては森博嗣あたりがあたり線かも知れない。
結構大衆向きだし、本格ミステリテイストも入っている。
作数も多いから、どっぷり漬からせるにはいいだろうし。
その後、本格ファンになってくれる可能性高そうだし。
ただ、S&Mは理系ミステリと言われるように理系テイストが多いというのが難点。
「すべてがFになる」を読んでわかってくれる日本人が世の中どれぐらいいるのかは疑問である。
そこさえ、クリアすれば森博嗣はいけるかもしれない。

自ら、「金田一少年」とか「コナン」しか読んだことの無い人に進める時、
一番最初に読んだらいいよと言われる作家になりたい、と言ったお方が居る。
言うまでもなく、霧舎巧だ。そのコンセプトの元始まったのが
「霧舎学園」シリーズ。表紙イラスト、「学園ラブコメ」と名を売って出したはいいが、
私は絶対にオススメしない!あれじゃ、単なる富士見ミステリと二時間ドラマの融合である。
ミステリを読まない人もある程度の予備知識はあるわけで、二時間ドラマなどでつまらないと
思っているからミステリを読んでないわけで、
あんな作品で初心者を引きづり込もうというのが間違えている。
さっさ、中止するかそのコンセプトをやめたほうがいい。
ただ、霧舎巧の「《開かずの扉》シリーズ」は意外にミステリ初心者にはもってこいだと言える。
悪魔でも若年層向けだが、ライトノベルや漫画しか読んだこと無い読者に読ませるには
最適な文章や登場人物だと思うし、トリックもまずまずだ。
若干、パロディなのが(ミステリ初心者は当然元作品を読んでないわけので)難点だが、
若年層(20以下限定)の人にオススメするなら「開かず」だろう。

さっき私は「予備知識で詰まらない思っているから、ミステリを読んでいない」と言った。
ミステリに関する予備知識、悪く言えばで言えば固定観念はどんなものかというと、
おそらく「血まなぐさい殺人が起きて、警察が時刻表を適当に見て解決する」という物ではないだろうか。
つまり、殺人や警察などの活躍に目を取られて、
本来一番愉しむべきはずの「論理」「トリック」が固定観念によって見えないというが原因だろう。
(どうでもいいが、今の二時間ドラマは社会派の影響受けすぎ!)
その固定観念を破るには手っ取り早いのは北村薫だろう。特に、他のジャンルの本は読んでいるけど
ミステリは読んだ事ない女性なんかには最適だろう。
個人的には加納朋子の方が好きだが、ちょっとピンポイントになりそうなので北村薫にしておこう。
北村薫の「円紫さんと私」シリーズは文章も上手だから、本を読んでいる人にも受けがいいだろうし、
ミステリへの偏見を崩すにはもってこいだと思う。ミステリとして意識して読ませることが出来るろうし、
今まで「殺人」や「警察」の陰に隠れて見えなかった「論理」も見えてくるだろうし。
問題点としては、北村作品は論理が少々アバウトすぎるのが難点で、「円紫さんシリーズ」面白
といってくれた人が本当に「論理」部分にも面白みを感じてくれたのかがわかりにくいのが難点で、
宮部みゆきと同じ穴に入る可能性は高い。

本格ファンの人は何で彼を出さないんだ!と思っているかもしれないが、
有栖川有栖綾辻行人で正面でぶつかってみるのはどうだろうか。
あるいは、海外でクイーン、クリスティでぶつけてみるのはどうだろうかと。
全く、本を読んだ事無い人ならいいかもしれない。あるいは、小学生などにホームズの次に
オススメする本としてはクイーンのジュブナイルもオススメかもしれない。
ただ、今まで別のジャンルを読んでいた人に読ませるには全く向かない。
綾辻行人や有栖川有栖は文章が下手すぎる。SFファンあたりなら気にしないかもしれないが、
ホラー、恋愛、歴史、純文学などは納得しないだろう。あるいは、それだけ面白くない小説との
烙印を押される可能性は高い。特に、有栖川有栖や綾辻行人は初っ端からマニア向けな
会話があることが多いので、切捨てだ。(ただ、我孫子武丸なんかは新本格の中ではオススメできるだろう)
海外作品は微妙である。さっきまで読んでいた本(若桜木虔著『プロ作家養成塾』)に
「翻訳物が好きな人は翻訳物を集め、国内好きは外国の名前が出てきただけで頭がいたくなる人もいる」
と書いてあったので、根本的に外国駄目という人はいるらしい(私もそうなのだが)。
SFや恋愛は外国物でも結構人気があったりするが、
歴史やホラー、純文学読者には勧めないが無難と言えるだろう(特に純文学)。
ただ、恋愛好きなら一か八かでクリスティを薦めてみるのも面白いかもしれない。

あと、一人上げておこう。東野圭吾だ。
若干、大衆向けな上に、本格テイストが少ない気もするが初心者受けする可能性は高い。
個人的には、東野は終わり方はリドル・ストーリーっぽくて嫌いなせいでほとんど読んでないのだが、
『白夜行』は好きな作品だ(これもリドル・ストーリーっぽいんだが)。
まあ、『白夜行』は厚さから退かれるかも知れないが、オススメしてみる価値はあるかもしれない。

結論を述べるならば、やはり男性なら森博嗣、女性なら北村薫。
未成年には霧舎巧の「開かず」あたりだろうか。
勿論、一発を狙って西尾維新(勿論U20)や
灰汁の強い西澤保彦や鯨統一郎(いずれもR18)あたりを狙うのも面白いだろうし、
順当に宮部みゆきでいくのがベターかもしれない。
(ちなみに、私は宮部から入りました。恩田陸は前からファンだったけど)
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